傷つけ合うのはなぜ? 既婚者合コンの「常連」たちが抱える、お互いへの悪口と複雑な心理
既婚者合コン(既コン)に何度も足を運ぶ「常連」参加者たち。彼らはお互いの顔を知りながらも、水面下で、あるいは時には公然と、異性の常連仲間に対する悪口や不満を口にすることがあります。
なぜ、同じ境遇で同じ場所を共有する者同士が、お互いを批判し合うのでしょうか?それは、彼らが抱える「満たされない期待」と「自己肯定の葛藤」という、既コンならではの複雑な心理に深く根ざしています。
1. 繰り返される「期待と失望のループ」
常連参加者が最も批判の対象とするのは、「いつ来ても同じ顔ぶれで、状況が進展しない」という現状です。
- 男性常連の不満(女性への悪口):
- 「あの女性はいつも来ているのに、全く連絡先を交換しようとしない。遊びに来ているだけだ。」
- 「真剣な出会いを求めていると言いながら、結局は自分の愚痴を聞かせたいだけだろう。」
- (表面的な交流しかしない、積極的にアプローチしないことへの批判)
- 女性常連の不満(男性への悪口):
- 「あの男性は何度も来ているのに、口説き文句が毎回同じ。進展がないのは本気じゃない証拠。」
- 「経済力やステータスばかりアピールしてくるが、結局は家庭に不満があるだけで、私たちを都合のいい相手としか見ていない。」
- (真剣な関係を築こうとしない、ステータスだけを重視する姿勢への批判)
このように、お互いが「このイベントで何かを得たい(新しい刺激、心の繋がり、恋愛)」と期待しているにもかかわらず、相手もまた常連である=まだ満たされていないという事実に直面し、失望を相手の「質」や「態度」のせいにしてしまいます。
2. 交流の目的が違うことへの「苛立ち」
常連の中には、真剣にセカンドパートナーを探す人もいれば、単に日常のストレスを発散したいだけの人もいます。目的のズレが、お互いへの悪口に発展します。
- 「真剣派」からの不満:
- 「あいつはただの暇つぶしだ。私たちの貴重な時間を奪っている。」
- 「交流会をただの飲み屋感覚で利用するな。」
- 「ガス抜き派」からの不満:
- 「やたらとプライベートに踏み込んできて重い。こっちはただ気分転換したいだけなのに。」
- 「異性を値踏みしてばかりで、純粋な交流を楽しもうとしない。」
お互いが「このイベントの空気を乱しているのは相手だ」と認識することで、批判のボルテージが上がります。
3. 「自己肯定感」を守るための他者批判
常連参加者にとって、この場で成果が出ないことは、「異性としての自分の魅力が失われたのではないか」という恐怖に直結します。なぜなら、彼らが既コンに来る動機の一つには、家庭で失った「異性からの評価」を取り戻したいという気持ちがあるからです。
- 「自分が選ばれない理由を他者に転嫁する」心理:
- 常連である自分自身の問題(アプローチ方法、魅力、マンネリ化)を直視するよりも、「異性の常連のレベルが低いから仕方ない」「良い人はもうみんな卒業している」と相手を批判した方が、自分の傷が浅くて済みます。
- 共感を求めるための「仲間作り」:
- 特に同性間で悪口を共有することで、「私だけがこの現状に不満を持っているのではない」という仲間意識が生まれます。「あの人はダメだよね」という悪口は、一時的に自分たちの行動を正当化し、居心地の良さを確保するための手段となります。
4. 結論:悪口は「満たされない自分自身」への失望の裏返し
既婚者合コンの常連参加者たちが交わす悪口は、単なるゴシップや陰口ではありません。それは、「時間とお金をかけて何度も来ているのに、いまだに理想の相手や求めている刺激に出会えていない」という、深い失望感と、それによって揺らぐ自己肯定感を守ろうとする防衛機制の表れです。
彼らは、同じ場所に居続ける者同士だからこそ、「共感」と「批判」の刃を同時に向け合ってしまうのです。この複雑な心理を理解することが、既コンという特殊な交流の場を深く読み解く鍵となります。


